[製品開発ストーリー Vol.12] 最後の詰め

2007.02.05

昨年からずっと書いている製品開発ストーリーシリーズですが、とうとう2007年に突入してしまいました。もういい加減、私の記憶も薄れてきてしまったのでそろそろ終了にしたいと思うのですが、あとほんの少しだけエピソードがありますのでお付き合いください。なお、もし「なんの話だよ」という方がいらっしゃいましたら大変お手数ではありますが「Vol. 1」からお読みください。

[製品開発ストーリー Vol.11] シリコンケース完成のつづき…


・大苦戦した製品撮影

台湾からサンプルを大量に抱えて帰国した翌日、製品ウェブページを作成するための製品撮影に取りかかりました。これまでは商談用の資料として製品イメージだけを記載していましたが、とうとう製品ウェブページも公開して発売にこぎ着ける段階となったために製品の撮影が必要となりました。

今までは新製品が出るという情報が来たらメーカーに高解像度のイメージ写真をもらい、それらを元にウェブページや製品資料を作っていくだけだったのですが、今回はオリジナル製品のために自分たちで用意しなければなりません。とはいえ、プロのカメラマンに撮影してもらう時間とお金はないので、自分たちで撮影することにしました。割と簡単に考えていたのですが、これがものすごく大変な事だとわかったのは撮影を開始して少ししてからでした。

何枚撮っても思うような仕上がりにならず、光の差し込み方も気に入らなければ影の付き方も気に入らない。映り込みも変になるわ、製品自体うまく並ばないわ、色の感じがおかしいわ、なんやらかんやらで納得がいかないまま時間だけが過ぎていきました。実際、素人が撮影しているわけですからそう簡単にはできるはずはなかったのです。

Photo01.jpg

Photo02.jpg

Photo03.jpg

ここの掲載するのもハズカシイくらいの写真がたくさんあるのですが、ほんの少しだけ晒しておきましょう。このときに、もっと写真の撮り方を勉強しようと心に誓ったわけです。

そんなこんなで撮影は半ば諦めムードで進み、なんとかPhotoshopのおかげで少しはまともなカタチにしつつ製品ページを作成しました。今でもあまり褒めたできではありませんが、撮っていたときよりはかなりマシになったと思ってください(笑)。

・製品発表(プレスリリース)

そして10月4日、製品を10月7日(土)から発売すると発表しました。まだ当時、発表はしたものの発売を開始していないところばかりで、実際に発売を開始できているところはなかったと記憶しています。この発表ページでは記述していませんが、メールでプレス関係者に出した発表には「国内で最初に」と付けていました。しかし、自信がなかったので本文では「(当社調べ)」と弱気な姿勢でしたが(笑)。

・最後の最後にハプニング

台湾にて最後の確認を終え、生産にゴーをかけて日本に戻ってきたのですが、出荷日は10月4日の予定でした。台湾の工場で午後5時に集荷されると、翌日の夕方には流通倉庫に入る事になっていました。そして、その翌日つまり10月6日には全国のお店に向けて出荷が開始される予定だったのです。ところが…。

10月4日の夜5時を過ぎても出荷を完了した旨の連絡がありません。Judyにメールやチャットで連絡を付けようとしても全然返信がありません。最終的に電話をしてみたのですが、これもつながりません。結局連絡が付いたのが午後11時過ぎ。Judyはずいぶんと疲れていて、悲しそうな声でした。

聞いてみると、最初にアクシデントが起きたのが工場で、停電が起こりその関係で最後の梱包作業が大幅に遅れたのです。さらに悪いことに、この日以降台湾がお休みに入るということで出荷がラッシュになっていて、載るはずの飛行機に載せることができなかったということなのです。

台南の空港で載せられないとわかったところで、それでも何とかしなければ日本での発売に間に合わなくなるということを考えたJudyは、なんとトラックで台北まで行くことにしたのです。台北まではかなりの距離があるためかなり飛ばしてもギリギリなのですが、途中まで行ったところで大きな渋滞に巻き込まれてしまい、そのまま行っても絶対に間に合わないということがわかったために仕方なく引き返してきたということらしいのです。

実際には停電になる前に出荷をしていた半分くらいの量が翌日には入荷してきたのですが、それでも半分は遅れてしまうという結果になりました。ですから、10月7日に店頭に商品が並んだお店は限られてしまっていたのです。残念な結果ではあったのですが、Judyが一生懸命がんばってくれていたことを考えるとあまり責める気にはなりませんでした。そして、関係者の方々の多大なる支援によりなんとか事態もそれほど問題にならずに収められることもできたのです。

こうして、iPod nano(2nd)発表から怒濤の日々を突っ走ってきた製品開発は終わりとなりました。偶然の出会いから、ビジネスのつながりと信頼関係ができ、さまざまな試行錯誤の結果製品が完成したことは非常に感慨深いものがあります。今後も、自分が欲しいと思えるものを作っていきたいと思っています。

このブログを書いたスタッフ

プレジデント

ほっしぃ

音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。

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